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生成AI時代に効く「基幹データの整え方」

生成AI時代に効く「基幹データの整え方」とシステム選定の勘所

年末年始は、製造業にとって一年でいちばん“業務が凝縮”する時期です。
棚卸、月次・年次の締め、来期の生産計画や原価の見直し。
現場も事務も忙しいのに、「在庫が合わない」「集計が遅い」「数字が出てくるのが休み明け」になってしまう――
毎年の恒例行事になっていないでしょうか。

ここ数年で状況が変わったのは、“生成AI”が一気に身近になり、「データを活かして改善する」ことが当たり前になりつつある点です。

ちなみに以下は、2023年のデータですが「日本企業における生成AIの業種別導入状況」です。

【出典】野村総合研究所「生成AI活用の現在地と「自社ならでは」の生成AI活用テーマ選定の要諦

どの業種においてもわずか5カ月で1.2倍に増加していることがわかります。

「導入済み」と「導入検討中」を合わせると76%

株式会社野村総合研究所は、2025年9月、日本企業のCIO(最高情報責任者)またはそれに準じる役職者を対象に「ユーザー企業のIT活用実態調査(2025年)」を実施。
517社から回答を得たところ、生成AIを「導入済み」と「導入検討中」を合わせると76%とのことです。
(引用:https://www.nri.com/jp/news/newsrelease/20251125_1.htmlより)

それぞれの業種における生成AIの活用法は、見積の文章案、報告書の下書き、問い合わせ対応などの文書作成や文章コミュニケーション、また、イメージ(画像)生成やデータ分析などさまざまで、周辺業務を AI活用により効率アップにつなげています。
その一方で「自社が活用する具体的なメリット、効果が分からない」という企業も39.0%存在します。(野村総合研究所「https://www.nri.com/content/900032926.pdf」より)

特に製造業の中心である 受注・在庫・進捗・原価 の数字が曖昧だと、AIによるデータ分析を試みたとしても、結局「それっぽい整理」で止まってしまいます。

では年末年始、何を見直すと今後のAI活用に向けた効果が出るのか。

AIによるデータ分析はさておき、ポイントは「棚卸を“数えるイベント”から、“基幹データを整えるイベント”に変える」ことです。
年末の棚卸や締めは全社が同じ方向を見る数少ない機会なので、仕組みを一段よくするには最高のタイミングです。

1)棚卸が毎年しんどい会社は、「在庫の定義」が揺れている

在庫と一言でいっても、材料/仕掛/製品、良品/不良/保留、ロットや置き場の扱いなど、定義が部門や担当者の解釈に寄っていることがあります。すると、数え方・集計方法・差異の扱いがぶれ、どれだけ頑張って数えても「来月またズレる」状態になります。

年末にやるべきは、棚卸表を作り直すことより先に、在庫の定義とマスター(品目・倉庫・ロケーション)を揃えることです。ここが揃うと、棚卸は“作業”から“確認”に近づきます。

2)差異が出たときに「原因まで追える」仕組みが、来年の残業を減らす

棚卸差異は、必ず理由があります。
実績入力の遅れ、工程間移動の記録漏れ、払出・受入のタイミング差、外注戻りの扱いの不統一・・・。

1拠点ライセンス数無制限i-PROWの利用イメージ

重要なのは「差異が出ないこと」ではなく、差異が出ても、原因が追えることです。
原因が追えれば、来年の運用改善に繋がります。追えなければ、毎年同じ残業を繰り返します。

この“追える状態”を作るには、情報が分散しないことが大前提です。
Excelが悪いわけではありませんが、受注は営業の表、在庫は倉庫の表、実績は現場の表、原価は経理の表・・・となると、締めのたびに突合作業が発生し、担当者のスキルと体力に依存します。
生産管理システムを導入し、効率の良い情報管理が必須なのです。

また、実績入力の遅れを生じさせないためにも、拠点ライセンス数無制限で利用できる「i-PROW」で、作業ごとにタイミングよく入力することをお勧めいたします。

3)来年の改善スピードは、「基幹に戻るデータの量」で決まる

生成AIやBIツール(ビジネスインテリジェンスツール(Business Intelligence Tool))を活かす話題は増えましたが、製造業で成果が出やすい順番は変わりません。

現場実績が“その日に”基幹へ入る ⇒ 在庫が追える ⇒ 原価と納期が読める ⇒改善が回る

この流れができると、来年は「見える化」ではなく「手が打てる化」になります。

ここで生産管理システム選定の勘所が出てきます。選定者が見るべきポイントは、機能の多さだけではありません。

・現場が無理なく入力できるか(入力が遅い=締めが遅い)

・データが一気通貫でつながるか(部門ごとの分断が残ると改善が止まる)

・マスターと運用ルールを整えやすいか(定義が揃うと棚卸が変わる)

・「差異の原因」を追うための履歴・実績が残るか(改善につながる)

生産管理システム「i-PROW」は、見積~受注・出荷、手配、在庫、進捗、売上・仕入までを一気通貫で扱えるため、部門ごとにバラバラだった情報を“基幹に寄せる”設計に向いています。

結果として、年末年始の棚卸・締めがラクになるだけでなく、来年の改善(計画精度、納期遵守、在庫適正化、原価の見える化)を回しやすくなります。

年末年始は「忙しいから何も変えられない」ではなく、むしろ「忙しいからこそ、来年ラクにする一手を打つ」タイミングです。

今年の棚卸・締めを、来年に効く“基幹データ整備”のスタートにしませんか?

i-PROWを軸に、現場に寄り添った運用設計まで含めて整えることで、生成AI時代に必ずや活用できる「基幹データ」に生まれ変わります。

【参考文献】

■日本企業における生成AIの業種別導入状況 野村総合研究所(https://www.nri.com/content/900032926.pdf

■生成AIの普及状況(導入率・活用深化フェーズ)
野村総合研究所「IT活用実態調査(2025年)」ニュースリリース(生成AI“導入済み”57.7% 等)
(https://www.nri.com/jp/news/newsrelease/20251125_1.html)

■“2025年の崖”と既存システム刷新・データ活用の重要性(DXの問題提起) 経済産業省「DXレポート(概要)」— 2025年までに既存システムの刷新を進め、データ活用によるDXを本格展開するシナリオ 経済産業省
(https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/dx/DX_report_summary.pdf)

■“同じデータでも解釈がズレる”問題と、用語・定義の共通理解(在庫定義・マスター統一の背景) IPA(情報処理推進機構)「データの共通理解推進ガイド(本編)」— データ項目の意味の共通理解や整備方法を解説
情報処理推進機構(https://www.ipa.go.jp/digital/data/ug65p90000001ls2-att/000096537.pdf)

■製造業における“在庫の可視化”や“マスターデータマネジメント”の重要性(棚卸を“基幹データ整備”にする根拠) 経済産業省(委託事業報告書)「製造業におけるデータ品質…」— 在庫可視化の重要性や、マスター管理の重要性に言及
経済産業省(https://www.meti.go.jp/meti_lib/report/2021FY/000144.pdf