新年度の新人研修、紙の手順書だけで伝わりますか?
動画 × AI × i-PROWで“教え方”をアップデート
新年度が近づくと、製造業の現場では新人研修の準備が本格化します。安全教育、段取り、検査、記録の取り方……。
ベテランの「当たり前」を新人にどう伝えるかは、毎年の大きなテーマです。
特に近年は、若い世代ほど「動画で理解する」ことに慣れています。文字だけの手順書も大切ですが、実際の手の動き、タイミング、姿勢、音、危険ポイントは、動画のほうが一度で伝わる場面が少なくありません。
ただし、作業手順を動画にまとめるのは簡単ではありません。撮影だけでも時間がかかる上に、撮り直し、編集、字幕、最新版の管理……と工程が増えるほど負担になります。そこで注目したいのが、最近のAIツールです。
ChatGPTとGemini、どちらが新人研修の味方?
“比較”を踏まえた最適な役割分担
AIツールは一気に増えましたが、現場でよく名前が挙がるのがChatGPT(チャットジーピーティー)とGemini(ジェミニ)です。
AIは日々進化しており、両者は非常に似ている部分も多いのですが、開発思想や得意とする「立ち回り」にはいくつかの違いがあります。
結論から言うと、どちらが優れているかというよりも、「得意な工程が違う」ため、役割分担すると新人研修の教材づくりが現実的になります。
新人研修用のマニュアルや動画づくりは、大きく分けると次の流れです。
- 教材の目的を決める(何をできるようにするか)
- 必要な情報を集める(基準・手順・注意点・よくあるミス)
- 分かりやすい形に整える(章立て、台本、字幕、チェック表)
- 現場で運用できる形に落とし込む(版管理、更新、格納)
この中で、ChatGPTは「文章の整理・言い換え・読みやすさの最適化」が得意です。
製造業における専門用語の、新人向けのやさしい言葉への変換、手順書の体裁(見出し、箇条書き、チェック項目)、Q&A形式の整備など、“伝わる文章”を作る工程で力を発揮します。
一方でGeminiは、情報収集や素材整理、構成案づくりなど、“たたき台を素早く出す工程”と相性がよいのが特徴です。特に動画づくりにおいては、撮影前に必要なカットを洗い出したり、字幕の短文化を手伝わせたり、編集の指示書に落としたりと、作業量が膨らみがちな部分を前倒しで整える使い方ができます。
ChatGPTとGeminiの違いを整理すると、次の表のようになります。
| 観点 | ![]() | |
|---|---|---|
| 開発元 | ChatGPT・・・OpenAI | Gemini |
| 得意なこと | 文章の整理、言い換え、分かりやすい表現、構成の整え込み。相談、壁打ち。 | 最新情報に強いため情報収集の起点づくり、事実確認。たたき台作成、構成案の素早い出力 |
| 新人研修での使いどころ | A4手順書、研修資料、FAQ、注意事項の表現調整 | 章立て、ショットリスト、字幕分割、編集指示、ミスの洗い出し |
| 相性が良い作業 | 「読みやすく整える」「新人向けにやさしくする」 | 「抜け漏れを減らす」「作業を分解して指示書にする」 |
| おすすめの役割 | 文章の仕上げ・整え込み(最終品質を上げる) | 動画制作の設計・下ごしらえ(制作負担を下げる) |
つまりおすすめは、次のような分担です。
- Gemini:章立て、ショットリスト、字幕の分割、編集指示など「動画制作の設計・下ごしらえ」
- ChatGPT:A4手順書や研修資料、FAQ、注意事項の表現調整など「文章の仕上げ・整え込み」
この分担にすると、現場の負担が減ります。Geminiを“設計担当”として使うと、作業が分解され、撮影は撮影、編集は編集、文章化は文章化と分担しやすくなります。
特に若い世代は動画学習に慣れている一方で、現場は忙しく、ベテランが教える時間には限りがあります。
AIを使って教材作りを効率化し、i-PROWで工程にひもづけて運用できれば、教育の属人化を減らしながら、研修の質を上げることができます。
Geminiで進める「新人研修動画」づくり:撮影した動画の「要約」
まず前提として、2026年1月末現在のGeminiは「動画ファイルそのものをカット編集(短くする)して新しい動画ファイルとして書き出す」という直接的な編集機能は持っていません。
しかし、動画の内容を秒単位で解析し、編集の「設計図(構成案)」や「字幕テキスト」を作成することに関しては非常に強力です。
「撮る → Geminiで整える → 最低限の編集」に寄せるほど、継続しやすくなります。
撮影した動画の構成作成と、重要部分を抽出してもらうというわけです。
「Geminiで動画そのものを自動生成する」というより、動画づくりで最も手間がかかる“設計・整理・指示”および適切な”字幕用のテキスト文作成”をGeminiに任せるのです。
さっそく私どもも実験をしてみましたので、以下に「Geminiを用いて動画編集作業の負担を軽くする」進め方をご紹介します。
弊社のi-PROWの画面操作について使い方を説明する動画を例に
以下は、当方がテスト的に生産管理システム「i-PROW」の操作動画の一部をキャプチャし、その1分程度の動画をGeminiに要約させたときの結果になります。(クリックで拡大)
Geminiが出力した回答(上記画像内の「回答」部分のみ)
【動画編集用構成案】
1. [00:01:29 - 00:01:36] 見出し:生産計画画面の開き方
内容: メインメニューから「製品生産計画立案」を選択する基本操作。
字幕: 生産計画は「製品生産計画立案」画面から行います。
2. [00:01:37 - 00:01:43] 見出し:内示数と在庫状況の確認
内容: 画面上の「製品在庫数」「内示数」「受注数」などの各数値を確認する。
字幕: 現在の在庫数に対し、内示数がどれくらいあるかをまず確認してください。
3. [00:01:44 - 00:01:51] 見出し:生産計画の立案(入力)
内容: 画面上の「計画数」や「見込み数」を基に、実際の生産数を決定し入力する。
字幕: 画面上の数値を参考に、今回の生産数を入力します。
4. [00:01:52 - 00:01:57] 見出し:必要部材の自動計算
内容: 在庫情報から、製品生産に必要な部材(部品)の不足分を計算するボタン操作。
字幕: 「計算」を実行すると、在庫から不足している部材が自動で算出されます。
5. [00:01:58 - 00:02:12] 見出し:不足部材の発注処理
内容: 計算された不足部材の一覧から、直接「発注画面」へ遷移し処理を行う。
字幕: 不足部材はそのまま発注画面へ連携されます。一連の流れで手配を完了させましょう。
動画の中では、画面操作をしながら各ボタンの意味や使い方についてしゃべっているのですが、Geminiにアップロードしたところ、その動画ファイル内の音声から内容を拾い上げ、重要なところを要約し、テキスト文字としておこしてくれました。
「字幕」部分はそのままコピーペーストで動画編集ソフト内で利用できそうです。
人間がこの動画を見て、動画を止めながら、解説を聞き取って文字に起こすというのは大変な作業ですが、Geminiにお願いすると、ほんの数分でまとめあげてくれるのです。
内容もほぼ正確でした。
工場での作業手順動画を要約してもらう場合

まずは、作業の仕方の解説をしゃべりながら撮影した動画をGeminiにアップロードして、「この動画で行われている作業の手順を、箇条書きで書き出してください」と送ってみるのが簡単です。
なお、動画要約のプロンプトを入力する際に「◯◯工程で新人が起こしがちなミスを10個挙げてください」、などのような文もGeminiへの依頼として加えておくのも良いでしょう。
それぞれについて
- ミスが起きる理由
- 現場での兆候
- 防止策(動画に入れる一言)
をセットで提案してもらうなど、プロンプトの工夫次第で効果的なまとめが出てくるかもしれません。
このように、スマホなどで撮った動画をもとに、GeminiなどのAIを使って「章立て」「注意点」「字幕」などがテキストベースで一気に形にできます。
この構成や字幕文章を、撮影した動画ファイルとともに動画編集ソフト(Microsoft ClipchampやVrewなど)に当てはめることで、短く分かりやすいマニュアルが作成できるので、かなり動画編集の負担が軽減されますから、一度挑戦してみてはいかがでしょうか。
作った動画・文書を“迷子にしない”──i-PROWで工程とひもづける
次に大事なのがこれら動画マニュアルの置き場所です。誰かのローカルパソコン内やネットワーク上のフォルダに散らばったマニュアルは、更新されても現場に伝わりませんし、いざ必要な場面で保存場所を思い出せない、なんていうこともあります。
i-PROWなら、工程ごとにドキュメントや関連動画をひもづけして格納できます。
つまり「工程の画面を見れば、その工程で見るべき手順書・教育動画がすぐ出る」という運用が可能です。
おすすめ運用:
Geminiで要約編集した動画や文書マニュアルをi-PROWに格納し、全体の業務フローとともに新人に理解してもらう。
これが一番“教育が回る”形です。
- 工程画面 → 関連動画(手元・注意点)
- 工程画面 → A4手順書(チェック項目付き)
- 工程画面 → よくあるミス(NG例・防止策)
この形にしておくと、単なる作業暗記ではなく、全体の業務の流れの中で「なぜこのタイミングで、この作業が必要なのか」という理解の仕方が出来るはずです。
結果として、ミスや手戻りの削減にもつながります。
※GeminiはGoogle LLCの商標です。ChatGPTはOpenAIの商標です。
※ロゴマーク出典:OpenAI Brand guidelines、 Google Brand-resource-center
まとめ:システム選定の機会こそ“育成に効く使い方”も視野に
生産管理システムの導入・入替は、現場のルールや手順を見直す絶好のタイミングです。
せっかく整えるなら、業務効率だけでなく人材育成にも貢献できる運用まで含めて設計してみませんか。
i-PROWなら、工程に紐づくマニュアル(文書・動画)を整備し、AIの力で更新負荷も下げながら、新人が“迷わず学べる”環境をつくれます。
新年度の準備が始まる今こそ、教育のやり方をアップデートするチャンスです。
ぜひ、システムの入れ替えや導入時には、人材の育成にも貢献できる使い方のできるi-PROWをご検討ください。










